平成22年税制改正(所得税)の要約

 

Ⅰ平成22年分所得税の主な改正事項
1.寄附金控除の改正(所法78〉
寄附金控除について、適用下限額が2千円(改正前:5千円)に引き下げられました。

2.政党等寄附金特別控除の改正(描法41の18)
平成26年12月31日までに支出した寄附金に係る政党等寄附金特別控除について、税額控除の計算
の対象となる政党等に対する寄附金の適用下限額が2千円(改正前:5千円)に引き下げられました。

3.事業所得等関係
(減価償却等関係)
(1)試験研究を行った場合の所得税額の特別控除(措法10)における試験研究費の増加額に係る特別
税額控除又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る特別税額控除を選択できる措置につい
て、その適用期限が2年延長されました。
(2)エネルギー需給構造改革推進設備を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(描法10の
2の2〉について、対象設備のうち石油以外のエネルギー資源の利用に著しく資する機械その他の減
価償却資産を化石燃料以外のエネルギー資源の利用に著しく資する機械その他の減価償却資産とする
見直しが行われました(措令5の4)。
(3)中小企業者が機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(措法10の3)について、
その適用期限が2年延長された上、適用対象から除外されるソフトウエアの見直しが行われました(措
規5の8)。
(4)事業基盤強化設備を取得した場合等の特別償却又は所得税額の特別控除(描法10の4)について、次の見直しが行われました。
イ製造業その他一定の事業を営む中小企業者が取得した情報基盤強化設備等に係る措置が加えられました。
ロ特定旅館業を営む中小企業者以外の者に係る措置が除外されました(措令5の6)。
ハ中小企業者等の教育訓練費の総額に係る特別税額控除について、事業主が負担することとされる
法定福利費に平成22年度における子ども手当の一部として支給される児童手当に係る拠出金を含
めることとされました(措令5の6)。
(5)地震防災対策用資産の特別償却(措法11の2)について、耐震改修工事に係る措置が廃止されました。
(6)中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例(描法28の2)について、その適用期限が2年延長されました。

4.譲渡所得関係
(1)特定の居住用財産の買換え(交換)の場合の長期譲渡所得の課税の特例(描法36の2~36の5)
について・譲渡資産の譲渡に係る対価の額が2億円以下であることの要件が追加された上、その適用期限が2年延長されました。
《適用時期》この改正は・平成22年1月1日以後に行う譲渡資産の譲渡について適用されます(平成22年所法等改正法附則59③〉。
(2)居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措法41の5)及び特定居住用財
産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措法41の5の2)について、その適用期限が2年延長されました。

Ⅱ.平成21年度の改正事項のうち・平成22年分の所得税から適用される主なもの
棚卸資産の評価について・所要の経過措置が講じられた上、選定できる評価の方法から後入先崖法及
び単純平均法が除外されました(所令99、平成21年改正所令附則4)。

Ⅲ.平成22年度の改正事項のうち、平成23年分の所得税から適用される主なもの
1.扶養控除の見直し
(1)年少扶養親族(扶養親族のうち、年齢16歳未満の者をいいます。)に対する扶養控除が廃止されました。これに伴い・扶養控除の対象となる控除対象扶養親族は、年齢16歳以上の扶養親族とされました(所法2、84、平成22年所法等改正法附則5)。
(2)年齢16歳以上19歳未満の者に対する扶養控除については、上乗せ部分(25万円)が廃止され、扶養控除の額が38万円とされました。これに伴い、特定扶養親族の範囲が、扶養親族のうち年齢19歳以上23歳未満の扶養親族とされました(所法2、84、平成22年所法等改正法附則5)。
(3)扶養控除の見直しに伴い・居住者の扶養親族又は控除対象配偶者が同居の特別障害者である場合において、扶養控除又は配偶者控除の額に35万円を加算する措置に代えて、同居特別障害者に対する障害者控除の額が75万円(改正前:40万円)に引き上げられました(所法79、旧措法41の16、平成22年所法等改正法附則5)。

Ⅳ金融・証券税制の改正
1.生命保険料控除の改組(所法76)
生命保険料控除が改組され・次の〔1)から(3}までによる各保険料控除の合計適用限度額が12万円とされました。
(1)平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る控除
イ.平成24年1月1日以後に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「新契約」といいます。)のうち介護(費用)保障又は医療(費用)保障を内容とする主契約又は特約に係る 支払保険料等(以下「介護医療保険料」といいます。)について、介護医療保険料控除(適用限度額4万円)が設けられました。
ロ.新契約に係る一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の適用限度額は、それぞれ4方円とされました。
ハ.上記イ及びロの各保険料控除の控除額の計算は次のとおりとされました。

 

年間の支払保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超80,000円以下 支払保険料等x1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円


二.新契約については・主契約又は特約それぞれの保障内容に応じ、その保険契約等に係る支払保険
料等を各保険料控除に適用することとされました。
(2)平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る控除
平成23年12月31日以前に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「旧契約」
といいます。)については、従前の一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除(それぞれ適用限度額5万円)が適用され、控除額の計算は次のとおりとされました。

 

年間の支払保険料等 控除額
25,000円以下 支払保険料等の全額
25,000円超50,000円以下 支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超100,000円以下 支払保険料等x1/4+25,000円
100,000円超 一律50,000円


(3)新契約と旧契約の双方について保険料控除の適用を受ける場合の控除額の計算
新契約と旧契約の双方について一般生命保険料控除又は個人年金保険料控除の適用を受ける場合には、上記(1)ロ及び(2)にかかわらず、一般生命保険料控除又は個人年金保険料控除の控除額は、それぞれ次に掲げる金額の合計額(上限4万円)とされました。
イ.新契約の支払保険料等につき、上記(1)ハの計算式により計算した金額
ロ.旧契約の支払保険料等につき、上記(2)の計算式により計算した金額
《適用時期》これらの改正は・平成24年分以後の所得税について適用されます(平成22年所法等改正法附則4)。

3.非課税ロ庄内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置の創設(措法9の8、37の14)
(1)居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者(以下「居住者等」といいます。)が、金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座において管理されている上場株式等(以下「非課税口座内上場株式等」といいます。)に係る配当等でその非課税口座の開設の日から同日の属する年の1月1日
以後10年を経過する日までの間に支払を受けるべきもの(その金融商品取引業者等がその配当等の支払事務の取扱いをするものに限ります。)については、所得税を課さないこととされました(措法9の8)。
(2)居住者等が、非課税口座の開設の日から同日の属する年の1月1日以後10年を経過する日までの間にその非課税口座に係る非課税口座内上場株式等の金融商品取引業者等への売委託等による譲渡をした場合には、その譲渡による譲渡所得等については、所得税を課さないこととされ、非課税口座内上場株式等の譲渡による損失金額は、所得税に関する法令の規定の適用上、ないものとみなすこととされました(描法37の14①②)。
(注)「非課税口座」とは、居住者等(非課税口座の開設の日の属する年の1月1日において20歳以上である者に限ります。)が、上記の非課税の適用を受けるため、金融商品取引業者等の営業所の長に対し、その者の氏名、住所等を記載した非課税口座開設届出書にその年分の非課税口座開設確認書を添付して提出することにより平成24年から平成26年までの各年において設定された上場株式等の振替記載等に係る口座(1人につき1口座に限ります。)をいいます。
非課税口座には、その設定の日からその年12月31日までの間にその非課税口座を設定された金融商品取引業者等への買付けの委託により取得した上場株式等(その非課税口座を設定した時からの取得対価の額の合計額が100万円を超えない範囲内のものに限ります。)その他一定の上場株式等のみを受け入れることができます。
《適用時期》これらの改正は、平成24年1月1日以後に支払を受けるべき非課税口座内上場株式等の配当等及び同日以後の非課税口座内上場株式等の譲渡について適用されます(平成22年所法等改正法附則52、64)。

4.特定管理株式等が価値を失った場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例(描法37の10の2)について、適用対象となる特定管理株式の範囲から、非課税口座内上場株式等のうち、金融商品取引所への上場を廃止することが決定された銘柄(整理銘柄)又は上場を廃止するおそれがある銘柄(監理銘柄)としてその非課税口座内上場株式等が指定されている期間内に、その非課税口座内上場株式等に係る非課税口座から特定口座に移管がされたものその他一定の上場株式等が除かれました(措令25の8
の2)。
《適用時期》この改正は・平成24年分以後の所得税について適用されます(平成22年所法等改正法附則61)。

5.上場会社等の自己の株式の公開買付けの場合のみなし配当課税の特例(旧措法9の6)について、平成22年12月3i日までの間に行う譲渡について適用する措置が講じられた上、廃止されました(平成22年所法等改正法附則51)。

6.平成13年9月30日以前に取得した上場株式等の取得費の特例(旧描法37の1fの2)について、適用期限(平成22年12月31日)の到来をもって廃止されました(平成22年所法等改正法附則62)。
7特定ロ座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例(措法37の11の3)について、特定口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に、次に掲げる上場株式等が追加されました(措令25の10の2)。
(1)上場株式等以外の株式等を発行した法人の合併(その法人の株主等に合併法人の株式若しくは出資又は合併親法人株式のいずれか一方のみの交付がされるものに限ります。)によりその株主等が取得する合併法人の株式若しくは出資又は合併親法人株式
(2)上場株式等以外の株式等を発行した法人の分割(その分割法人の株主等に分割承継法人の株式又は分割承継親法人株式のいずれか一方のみの交付がされるものに限ります。)によりその株主等が取得する分割承継法人の株式又は分割承継親法人株式
(3)上場株式等以外の株式等を発行した法人の株式交換(その法人の株主等に株式交換完全親法人株式又はその親法人の株式のいずれか一方のみの交付がされるものに限ります。)によりその株主が取得する株式交換完全親法人株式若しくはその親法人の株式又はその法人の株式移転(その法人の株主に株式移転完全親法人株式のみの交付がされるものに限ります。〉によりその株主が取得する株式移転完全親法人株式
(4)非課税口座に係る非課税口座内上場株式等で、その非課税口座からその非課税口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所又はその金融商品取引業者等の他の営業所に開設されている特定口座への移管により受け入れる上場株式等
(注)上記(1)~(3)により取得した上場株式等は、そのすべてを、これらの事由が生じた日に特定口座(その特定口座を開設している金融商品取引業者等の営業所の長に対し、その株式等の取得に要した金額等を証する書類を提出した場合におけるその特定口座に限ります。)に受け入れる必要があります。
《適用時期》上記(1)~(3)の改正は、平成22年4月1日以後の合併、分割又は株式交換により取得する上場株式等について適用されます(平成22年改正措令附則17)。
上記(4)の改正は、平成24年1月1日以後に特定口座に受け入れる非課税口座内上場株式等について適用されます(平成22年改正措令附則17)。

(以上、税務署発行の「平成22年分所得税改正のあらまし」より抜粋)

 

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